ファクタリングにおける債権とは?種類と利用できる債権を解説
◎目次
・債権とは?
・ファクタリングで取り扱われる債権とは?
・まとめ
債権とは?
ファクタリングにおける「債権」とは、企業が取引により生じた未回収の売掛金(顧客からの支払いを受ける権利)を指します。具体的には、企業が商品やサービスを提供した際に顧客に対して請求した代金が支払われず、未回収の状態にある債務を指します。
債権は企業の資産として存在しますが、未回収のままでは現金化できず、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。このような場合、企業は債権を金融機関やファクタリング会社に売却することで即座に現金を手に入れることができます。
債権には、確定債権、仕掛債権、給与債権、将来債権、不良債権があります。
確定債権
債権者が債務者に対して法的な確定性を持つ債権のことを指します。つまり、債権者が法的な手続きを経て、債務者に対する支払いの請求権を取得し、その債務の金額や条件が明確に確定している状態を指します。
確定債権は、債権者にとって法的な保護や追求の手段を提供します。債権者は確定債権を持つことで、債務者に対して支払いの履行や債務の回収を求めることができます。また、確定債権は一般的には他の債権よりも優先される場合があり、債務者が破産手続きを行った場合には優先的に債務の回収が行われる可能性があります。
仕掛債権
商品やサービスの提供が完了しているが、まだ請求書が発行されておらず、未回収の状態にある債権を指します。つまり、債務者がまだ支払いを行っていないが、将来的に支払われる見込みのある債権です。仕掛債権は、商品やサービスの提供が完了した段階で発生します。企業にとっては未回収の資金となるため、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。通常は請求書の発行や債務者への支払いの督促を行い、回収が確定した段階で「確定債権」となります。確定債権とは異なり、仕掛債権はまだ確定していない未回収の状態を指す点に注意が必要です。
給与債権
労働者が雇用主に対して労働の対価として受けるべき給与や賃金に関する債権のことを指します。労働者は労働を提供する代わりに給与を受け取る権利を持ち、その権利を保護するために給与債権として法的に認められています。給与債権は通常、労働者と雇用主の間で労働契約が成立した際に生じ、労働者が労働を提供した対価として支払われるべき金額が明確になった時点で確定します。労働者は労働を提供した対価として給与を受け取る権利を持つため、雇用主は給与の支払いを適切に行い、給与債権を尊重する義務があります。
将来債権
「将来債権」は、将来的な支払いや債務の発生が予定されている債権のことであり、ある出来事や条件の発生によって将来的に債権が生じる契約や取引を指します。
そのため、現時点では確定的な債権ではありません。
条件や出来事が発生すると債権が生じ、債務者に対する支払いの請求権が発生します。
不良債権
債権者が債務者からの返済を受けることが困難である、もしくは事実上不可能な債権を指します。不良債権は、債務者が支払い義務を果たさない、または債務者が破産などの経済的な困難に直面している場合に生じます。不良債権は債権者にとっては損失を招く要素です。債権者は不良債権に対する回収を試みる場合がありますが、債務者の経済状況や返済意思などによって回収の可能性が変動します。
ファクタリングで取り扱われる債権とは?
ファクタリングで主に扱われるのは確定債権の方が一般的です。
その理由は以下の通りです。
1 未回収のリスクを低減できる
債務者による支払い義務が法的に確定しているため、未回収のリスクが比較的低いと見なされます。ファクタリング会社は債務者の信用力や返済能力を評価し、債権の未回収リスクを最小限に抑えることが重要です。
2 迅速なキャッシュフローの確保が可能
既に支払いが確定しているため、ファクタリングによって即座に現金を得ることができます。企業はキャッシュフローの改善や資金繰りの助けとして確定債権をファクタリングすることができます。
3 ファクタリング会社のリスク管理がしやすい
債務の金額や条件が明確であり、回収の見通しが立てやすいため、ファクタリング会社のリスク管理にとって有利です。ファクタリング会社は債権の信用リスクや未回収のリスクを評価し、適切な価格や手数料を設定します。
まとめ
確定債権以外の未回収の売掛金も一部のファクタリング会社によって取り扱われる場合があります。この場合、未回収のリスクが高いため、ファクタリングの条件や手数料が通常よりも高くなる可能性があります。企業がファクタリングを検討する際には、自社の債権の性質やリスクを考慮し、適切なファクタリング会社を選ぶことが重要です。